九州旅(2025年3月29日〜31日)
- 元英 白
- 5月18日
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その二 九州国立博物館 ~ハラノムシの話~
「ハラノムシ」とは、戦国時代の医学書『針聞書』(1418年)に登場する63匹の虫たちのことです。当時の人々は、病気をこれらの不思議な形をした虫によって説明していました。
ここでいう「ハラ」とは、単にへそのある「腹」だけでなく、胸と腹を含めた胴体の全面を指し、東洋医学でいう五臓六腑に虫たちが棲みついていると考えられていました。
この63匹のムシたちは、どこか気味が悪いながらも、どこか愛嬌のあるモンスターのようです。まるで「ポケモンの国」日本らしい発想と思いました。
しかも、これらのムシたちは単なる空想ではなく、当時の人々にとっては実在するものと信じられていました。なぜなら、『針聞書』には、これらのムシが病気の原因として描かれ、それぞれを退治するための鍼の刺し方や薬の使い方が詳細に記されていたのです。
九州国立博物館では、この『針聞書』が展示されています。さらに、ムシたちのキャラクターグッズや絵本も販売されていました。その中から、この3匹を連れてきました!九州に行かれる方はこの愉快な病魔たちに会いに行ってみてください。
1. 陽の亀積(ようのかめしゃく)
生息地:胃袋
特徴:宿主が食べたご飯(炊いた米)を横取りしてたくさん食べる。そのため、取りつかれた人は「痩せの大食い」になると考えられていた。
2. 気積(きしゃく)
生息地:胃袋
特徴:取りつかれると精力絶倫になり、色事を好むようになる。この病を治すには「虎のハラワタを食べる」とされていた。
豆知識:『ハラノムシの本』によると、当時の日本で虎の内臓を入手するのはほぼ不可能だったため、これは「好色は死ぬまで治らない」というオチらしい。
3. 脾臓の笠虫(ひぞうのかさむし)
生息地:脾臓
特徴:虫の笠が食べ物の通りを邪魔し、宿主の血色が悪くなっていく。激やせ、激太り、急激な体重の増減は、この虫の仕業とされていた。



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